辛口太郎のブログ

日々思ったことを思うままに。

遺品の掛け軸

今は誰も住んでいない田舎の祖父母宅。

 

遺品整理目的でGW中に足を運びました。

 

数えきれないほどの物の量に圧倒され、その日に整理する部屋を床の間のある和室に限定しました。

 

それでも大量のものに溢れていて、何があるのか、把握することに一苦労。

 

使える物、売却する物、廃棄する物、で分類し、別の部屋に並べていきました。

 

床の間の隣の押し入れに細長い箱が数本。

 

蓋を空けると中身は全て掛け軸でした。

 

勿論使える物には分類できませんでしたが、1本は思い出の品でした。

 

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学而不思則罔

思而不学則殆

 

細長い生地に縦書きで書いてあるイミフな2列の文字列。

 

確か小学校6年生の夏休み。

 

床の間の前に座らせた祖父が見せたものでした。

 

祖父は私に、読み上げ、意味を説明してくれました。

 

マナビテ オモワザレバ スナワチクラシ

オモイテ マナバザレバ スナワチアヤウシ

 

記憶の限りでは、意味は確か、

 

学ぶだけで、考えなけば、理解したとは言えないよ

学ばずに、考えるだけは、危険だよ

 

※(念のため)正しい説明はこちらでご確認ください。

 

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その上で祖父が私に伝えたかったのは、

(祖父が口にした言葉を一字一句覚えているわけではありませんが、)

 

人の話や書物の内容を真に受けず、正しいのか間違っているのか、常に考えるようにして、判断力をつけなさい。

 

また長い人生、これから色んな経験をするはず。

 

言動の良し悪しについて、自分本位の身勝手な判断はしない方が良い。

 

判断に困ったら、人に訊いたり、書物で調べなさい。

 

生きていく上で必要な知識は沢山あり、俺(祖父)だってまだ足りない。

 

学業に限らず、また、やってはならないことも含めて、何でも学びなさい。

 

してはならないことを、する・しないは、学ぶこととは別の話だから。

 

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私が社会人になってから、祖父に訊いたのですが、論語とか、孔子とか、そういう知識は祖父にはどうでも良かったみたいです。

 

祖父は大嫌いだった祖父の父(私にとっては曾祖父)から子供の頃に教わった言葉らしく。

 

教えられたその場で十分に理解できなかった祖父でも、その後の人生において、父(曾祖父)に教えてくれたことを感謝していました。

 

私も当時祖父の伝えたかったことは、言葉として覚えていても、十分に理解できず、自分のために何かしてくれたんだな~、位にしか思っていませんでした。

 

しかし進学するにつれ、また社会人経験を積むにつれて、伝えてもらったことのありがたみを感じずにはいられませんでした。

 

孫の私に対してだけではありませんが、祖父の子供たちに対する思いには唯々畏敬の念しかありません。

 

もしもあの時教わらなかったら、どんな人生を歩んでいたのだろうか。。。

(それなりに生きてこれたとは思いますが。。。)

 

でも欲を言うと、もう少し人の話が訊けて、物事の理解力がついてから教わりたかったな。

 

大変わがままな言い分で贅沢な態度ですが、それができない小学校6年生でした。

 

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「スナワチ」の前に「コレ」があった(祖父からそう聞いた)覚えがあるのですが、覚え違いみたいです。。。

 

それにしても子供の頃に教わったことって、どうして忘れずによく覚えているんですかね。

 

一週間前の出来事なんて何にも覚えていないのに。。。

 

そういえば大学の教科書、結構間違った記載や数式がありました。

書いてあることが正しいと真に受けて読んでいると、理解に詰まり、痛い目を見ることに。

 

情報処理の仕事中、ネットで調べて、見つけたプログラムの一部、そのまま利用したら想定通りに動作しない。

何のことはない、そもそもネットのプログラムに誤りが。